アナフィラキシーの見極めは難しい
小学校へ入学してからは、エピペンを処方され、いつもランドセルに入れて持ち歩くようになりました。又、有難い事に何事もなく過ごすことが出来ていました。
しかし、幼稚園年長の頃から始まったコロナウイルス騒動も落ち着き始めた7歳のある日。
その日は土曜日で、公園で遊び帰宅したのが午後5時半頃、テレビの前で早々に晩酌を始めていた夫が、お腹を空かせて帰った息子におつまみをあげているのを横目で見ながら、夕食の準備でもしようとお米を研いでいました。
すると、ソファーに座り、一緒にテレビを見始見るとめていた息子が、咳ばらいを始め、喉がおかしいと訴え始めたのです。恐らく、帰宅してから5分,10分が経過していたのではないかと思います。
私は夫の食べていたおつまみを怪しく思い原材料表示を見ると、カシューナッツが入っている事と、クルミを使った製品を製造していますの文字が。この頃の息子は、まだクルミとぺカンナッツのみを除去していました。(同じクルミ科のクルミとぺカンナッツには強い交差抗原性のある為。)
マメ科 | ダイズ属 エンドウ属 | ラッカセイ属ダイズ エンドウ豆 | ラッカセイ(ピーナッツ)
バラ科 | サクラ属 | アーモンド |
ウルシ科 | カイノキ属 | カシューナットノキ属カシューナッツ ピスタチオ |
ヤマモガシ科 | マカデミア属 | マカデミアナッツ |
クルミ科 | ペカン属 | クルミ属クルミ ペカンナッツ |
ブナ科 | クリ属 | クリ |
カバノキ科 | ハシバミ属 | ヘーゼルナッツ |
アオギリ科 | カカオ属 | カカオ |
サガリバナ科 | ブラジルナッツ属 | ブラジルナッツ |
おつまみ系のお菓子の場合、同じ工場でクルミを含むナッツ製品を製造している可能性が高い為、普段から気を付けてはいましたが、初めてのアレルギー発症からかなりの時間が経過していた為、少し気が緩んでいた時期でした。
疑われるのは工場でのクルミ混入か、新たなカシューナッツアレルギーの発覚です。しかし、若干のせき込みはあっても肌表面の腫れやその他の症状は一切見られないため、経過観察をして間に、ナッツでむせたの?かと思える程度の咳が数分おきにあるという症状のまま1時間程が経過しました。
エピペンとの対峙
ここで頭をよぎったのがエピペンの存在です。打つべきなのか、どうなのか。
エピペン(エピネフリン自己注射器)
**エピペン(EpiPen)**は、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応を緊急で緩和するために使用される、**エピネフリン(アドレナリン)**が充填された自己注射器です。これにより、迅速かつ簡便に必要な薬を投与できます。
エピペンの役割
心拍数増加作用:血液を全身に循環させる。
アナフィラキシーによる症状(血圧低下、気道閉塞、呼吸困難など)を抑え、命を救う。
エピネフリンは、以下の作用を持つ:
血管収縮作用:血圧低下を防ぎ、循環を改善する。
気道拡張作用:気道の腫れを緩和し、呼吸を助ける。
確かにむせる様な咳はあれど、「なんか変な感じがする」と言いながらもテレビを見続けている息子。どうすればいいの?これはエピペンを使う程度のアナフィラキシーなの?はたまた花粉症の時の様な喉のイガイガの咳なの?誰も教えてはくれません。エピペンのパンフレットなどにも、喉の締め付け感、声のかすれ息切れ、喘鳴(ゼーゼー音)、血圧低下、心拍数の増加、嘔吐とはありますが、いまいちピンときません。
随分とネット検索もしましたが、症状は書いてあっても症状の程度と判断の記述が曖昧でこれといった判断基準がないのです。 又、出来ればエピペンを使用したくない気持ちがある事も事実です。無駄に打ちたくはないし、そもそも注射なのですから未経験者には気軽に使用できる物ではないのだ。と、その時、改めてエピペン使用の難しさを痛感しました。
しかし、それらの気持ちが相まって1時間半が経過した頃、息子が嘔吐し始めたのです。
私は、分かりやすい症状が現れたのを切っ掛けに、急いで車を運転し、土曜の夜の救急に駆け込みました。大変な混雑でしたが子供のアナフィラキシーなので、早急に点滴をして頂く事が出来、アレルギー薬を一週間分処方され、その日は夜11時に帰宅する事が出来ました。
結局、エピペンを使用せずとも今回は事なきを得る事が出来ましたが、医師には、少しでも呼吸がおかしい場合はエピペンを使用してくださいと言われました。
うーん。その少しおかしい呼吸の判断がなかなか難しいんですよね・・・。
アレルギー検査結果
カシューナッツはそれまでに食べたことが数回ある程度でしたが、今回しっかり数値として出てきました。アーモンドは普通に食べていましたが、アレルギー検査の結果、陽性と出ました。又、5番目のハンノキは花粉の項目ですがヘーゼルナッツと交差反応があるそうで除去となりました。
ヘーゼルナッツとハンノキの関係
ハンノキ花粉アレルギーの主要アレルゲンであるBet v 1と類似した構造を持つタンパク質がヘーゼルナッツにも含まれている。
植物学的分類:
ヘーゼルナッツ(学名: Corylus avellana)はカバノキ科ハシバミ属。
ハンノキ(学名: Alnus spp.)もカバノキ科に属しています。
両者は同じ科に属するため、類似したアレルゲンを持つことがあります。
アレルギーの交差反応:
ハンノキ花粉症の患者は、ヘーゼルナッツを摂取した際にアレルギー反応を起こす可能性があります。
最後に、エピペンの使用について一番気になっていたことの回答を見つけたので、メモをしておきます。
- アナフィラキシーではないのに誤ってエピペンを打った場合どうなるのか?
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正常時にエピペンを打つとほてり感や心臓がドキドキする。しかし、あくまでも一時的な現象であり15分程度で元の状態に戻る。アドレナリンという成分は、元々人の体内にある副腎髄質というところで作られるホルモンの一種である。
アナフィラキシーの経過を予測することは不可能である為、アドレナリンを30分以内に筋肉注射することで、アドレナリンの複数回投与のリスクを下げ、入院率が低下する。又、時間が経ってから起きる二相性反応も減る。(**二相性反応(biphasic reaction)**とは、アナフィラキシーやアレルギー反応において、初期症状が改善した後に再び症状が現れる現象)逆に投与が遅れた場合は、二相性反応のリスクが上がる。アドレナリン(エピペン)は重症化を防ぐ薬であり、アナフィラキシーがピークとなる前に筋肉注射することが肝心である。