アレルギー児をサマーキャンプに送り出す決意
そろそろ年賀状を用意する季節になってきました。
自ずと一年の写真を見返すこの時期。画面をスクロールしていて、すっかり忘れていたサマーキャンプの写真を見つけました。
今年、私にとっての一大事は、重度アレルギー児の息子をサマーキャンプに送り出した事だったのです。アレルギーの無い子の場合でも勿論、子供を初めてのサマーキャンプに送り出すという事は、勇気のいる事だとは思います。
ただアレルギー児の場合、それに輪を掛けて命の危険に関わる心配事が加わります。それゆえに、これまではサマーキャンプのチラシなどを見ても右から左に流していました。
しかし今年の夏は、許容出来無い程に息子の様子が変化してきていました。思春期の入り口とも言われる”10歳の壁”とはこの事か!
と思わせる、いくつもの生意気発言が顕著になってきて、周囲と比較する意識も強くなり、お友達と自分を比較してか、体力が余り過ぎているせいか、夏休みに入って文句を言っては、お出掛けをしつこくせがむ毎日。プールなどの日帰りのお出掛けも、さすがにしょっちゅうは連れていけません。
我が家は、いつも夫が自分の休みに合わせて夏休みの計画を立てて手配をしてくれていますが、大抵、泊りでの旅行は夏休みの中では一度きり。今年も八月のお盆時期に2泊3日の予定でした。しかしそれまで旅行が待てない”思春期の入り口少年”は毎日ブーブー、自宅内クレーマー状態だったのです。
有り余る体力との葛藤を私にぶつけてくる日々が10日程続いたあたりで、私は遂に切れました。
今まで重度のアレルギーゆえ、随分と過保護にしてきてしまった事が原因だったのかも知れません。もっと親元を離れて冒険をさせておくべきだったのか、息子本人も過保護ぶりにストレスが溜まっていたのか。
”止まらないわがまま少年”と”ブチ切れた母” よくある光景です。そして大抵の場合、この手の戦いは母の圧勝で終わります。・・・何故ならブチぎれた母にはいつだって奥の手(大人の知恵とお金の力)があるからです。
そこで、この現状を何とか打破したい(何とか奥の手を使って生意気をねじ伏せたい)私は、遂にサマーキャンプに送り込む決心をしたのでした。
アレルギーさえ無ければ、もっと早くこの決心が出来ていた事でしょう。今こそかわいい息子を谷底へと突き落とす、試練の時です。(完全に頭に血が昇っている)
意を決した(完全に頭に血が昇っている×2)私は、片っ端から検索していきました。が、近々で参加出来そうなサマーキャンプが無いという現実を知ることになりました。(この時点では、明日明後日にでも参加出来そうなツアーを探して預けようと考えていました(完全に頭に血が昇っている×3)が、そもそもサマーキャンプの予約を夏休み開始後にする人が少ないのかも知れません。)
ましてや私の様に、わがままで生意気すぎる息子を黙らせるという不純な目的で、サマーキャンプを探す母親などいないのかも知れません。(今になって冷静に振り返れば自分の事ながら、少し怖ささえ感じます。)
ただ、その時の私は、息子のあまりの傍若無人ぶりに腹を立てていた為、藁にもすがる思いで検索を続けました。
そして、普段利用しているコープが主催している子供サマーキャンプに空きを見つけ、その日の夜の10時には申し込みを済ませていました。
翌朝私は、目覚めた息子に「4日後の月曜日から二泊三日のサマーキャンプに予約しといたから!」と、どや顔で言いました。
エピペンとアレルギー薬を持参 初めて家族と離れての外泊
初めて親と離れて過ごすことが決まり、少し位は怯むかと思いきや、「やったー!」と大喜びの息子。
やや当ては外れたものの、この時は、どちらもハッピーな気分になったのですから、お互いにとって、来るべくして来たチャンスだったのでしょう。又、初めて親元を離れての外泊体験が、普段利用しているコープ主催のツアーだった事も安心感が大きかったように思います。
当日の朝は、夫の出勤時間と重なった為、夫が名古屋駅の集合場所に送り届けてくれました。事前にアレルギーについてのやり取りも済ませていましたが、当日の朝も添乗して下さる方たちが入念に確認をして下さった様でした。三日間の食事の確認と、エピペンの確認があり、その足で仕事に向かう夫が、息子を預けて、その場を立ち去る際に撮影して、私に送ってくれた写真は、とても心細そうな表情でした。
一日目の、一件目に立ち寄ってお昼を食べるレストランだけは、アーモンドパウダーを使用したケーキがバイキングに並んでいたようでしたので、一日目の昼食後2時間だけは、ツアーの方からの連絡がない事を祈るような気持ちで生活していました。
しかし、今回のツアーでは、それ以降のメニューにはナッツ類の使用は無かった為、有難い事に安心して預ける事が出来ました。
この帰宅後は、夏休み冒険に満足したのか、急にキャンプに送り込まれた事で、自宅の良さに気付いたのか、夏休み初頭に現れていた”10歳の壁”もやや低くなり、理不尽な要求も減り、何とか工夫して夏休みを過ごす事が出来ました。
親元を離れ、初めて知り合った人たとの触れ合いを通して、学びや成長の機会を得られる貴重な体験が出来ました。
これから益々、親元から離れて行くので、自分の身を自分で守れる様にならなくてはなりません。食物アレルギーを持つ子達は人より大変な事も多い。何も考えずに物を食べる事が出来ない分だけ危機管理、自己管理も必要になってくる。でも、だからこそ得る物もあるのだと、前向きに捉えて成長していって欲しいです。
この夏、参加させていただきましたツアーは、
【こども自然体験塾】ラフティングアドベンチャー体験&茶臼山高原で山遊び3日間というツアーでした。
息子のナッツアレルギーが判明し、ナッツアレルギーの怖さを知ってから、幼少期はいつ何時、息子がアナフィラキシーで息が止まってもおかしくないのだと、張り詰めた気持ちで育児をしてきました。それが何とか、ここまで大きくなってくれた。10歳はそんな張り詰めていた気持ちが少しずつ軽くなる出来事の多い年となりました。
もう、あと一週間で冬休みが始まります。冬休みはクリスマスやお正月など、色々とイベントがあるので夏休み程では無いものの、体力を持て余した10歳の壁が、又、再建される事がありません様に・・・と祈っています。